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「店員、そこでいいから、出て行って。」
スペシャルなるモノを持ってきた店員を追い出そうとしている。
私は店員と目線が合った。
助けて!と目で訴えた。
「お客様、大丈夫ですか?」
この声…。
先程の「個室には入るなよ」の人だ。
良く見ると、私たちと変わりない年齢に見える。
私と店員の間に、先輩が割って入った。
「おめぇ、うぜぇよ。早く出てけよ。ばーか。」
先輩の豹変振りに、引いた。
店員は冷めた顔で個室を出て行こうとした。
部屋の雰囲気に私の鼓動はめちゃくちゃ早くなっていた。
「あ…っ…、タバコを下さい。」
私は咄嗟に店員に言った。
私はタバコを吸わない。
でも、彼との遣り取りをここで終わらせたら、大変な事になる。
「銘柄は。」
「いいから、早く出てけよ!」
先輩が店員の肩を押した。
何処かで見て覚えていた銘柄を言った。
「ラッキーストライク。」
「かしこまりました。」
店員が出て行くと、先輩たちは女性たちにスペシャルを飲ませていた。
私は飲んだ振りをして、咳き込み、口の中に含んだお酒を出した。
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