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店員が気を利かせて、別室に案内してくれた。
ドアを閉め、ホッとして店員の顔を見た。
「ありがとう。」
「お前馬鹿だろう。」
お礼を言った私に、店員は切り替えした。
…え。
一瞬の思考停止。
さっきまでの紳士的な店員の言い方じゃない。
友達的な罵り方…。
「忠告を聞かずに行くなんて、脳なしとしか言えないね。」
私は言い返せずにいた。
彼は携帯電話を出し、電話していた。
「真木野です。今日限りで辞めます。」
電話の向こうから怒鳴り声が聞こえた。
「最低なコンパに会場を貸すオーナーの気が知れません。
俺は逮捕や裁判に巻き込まれたくないので。」
それだけ言うと、電話を切った。
オーナーに電話したのだろうか。
私はボーっと彼を見ていた。
「アホ。」
一言残して、彼は部屋を出て行った。
悔しかったけど、ホッとしたと言うのが本心だろうか。
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