9人が本棚に入れています
本棚に追加
大学のキャンパスの掲示板の前で休講の張り紙を見ていた私は、キツイ言葉を投げかけられた。
臭い?臭いって何よ!
「張り紙、見たんだろ?早くどけろ。」
失礼な事を言うヤツの顔を見ると、機械工学科の真木野だった。
服に隠れてはいるものの、175センチ位の身長にちょっと良い筋肉が付いていそうな体型。
少し頭にきていたけど、真木野だと分かると少し落ち着いた。
と云うより諦めた。
私がちょっとよけると、掲示板のガラス戸に鼻先が付く位顔を近づけた。
目が悪いのか。
…でもあんな言い方は無いと思う。
「見えないからよけてくれって言えば良いじゃない。」
私が真木野の横顔に文句を言った。
「そう言っただろ?」
私の顔を見る事もしない。
憎たらしい…。
じゃあ、臭いって何よ!
「臭いって…。」
自分で言われた事を繰り返して言ってて、落ち込んできた。
もう、いいや…。
口を利くのも嫌になって、真木野に背中を向けた。
数歩歩いた所で、真木野が話した。
「香水、嫌いな匂いなんだよ。」
ドキッとした。
足が止まりそうになった。
最初のコメントを投稿しよう!