[一頭目]紅い蝶

4/4
前へ
/61ページ
次へ
あなた様の足元に転がる、その小ぶりな倒木。 細い細い管で、ちゅうちゅうと。体液を蝶に抜き取られて干からび朽ち果てた人間かもしれません。うふふ……。 雨が小降りになりましたね。 私めは、一足先に走って帰りましょうかな。いつまでもお屋敷の仕事をサボっていると、旦那様に怒られてしまう。 ーー蝶の話は作り話だろうって? ああ、これ見よがしに蝶のアクセサリーなどを、私めは胸に着けていますからねえ。 信じなくて構いませんよ? 蝶の舞う季節はまだ、これから。あなた様に危険は無いでしょう。 良い旅を。ご無事を祈りますよ。
/61ページ

最初のコメントを投稿しよう!

18人が本棚に入れています
本棚に追加