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「しかし、若者が殴った騎士は兜を脱いでいて……床は石床。したたかに頭を打った相手は、動かなくなりました。
深夜の出来事で、人気が無いのを良いことに。若者は、グッタリした仲間を引きずって森の奥へ。
半月を映す静謐な湖へ小船を乗り出して、沈黙した相手を投げ込みました。
途端に。もがく腕がばしゃばしゃ、水面を激しく叩きます。
……そう。殴った相手はまだ生きていた……
起こる波で船が転覆して、若者は頭から湖へザブン!
重い重い甲冑に、その身体を捕らわれて。まもなく深く暗い水底に沈んでいきました。
二人とも、ぶくぶくと仲良く……物言わぬ骸……魚の養分へ……。
ーーーーそれからですね。
鎧を身に纏う人が湖へ近づくと、青白くぬめった腕が足をつかんだり。無人なのに激しい水音がどこからか聞こえたり。するそうです。
甲冑を着た二人。水底をさ迷ってるんですねえ、まだ。」
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