[二頭目]さ迷う青い甲冑

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「しかし、若者が殴った騎士は兜を脱いでいて……床は石床。したたかに頭を打った相手は、動かなくなりました。 深夜の出来事で、人気が無いのを良いことに。若者は、グッタリした仲間を引きずって森の奥へ。 半月を映す静謐な湖へ小船を乗り出して、沈黙した相手を投げ込みました。 途端に。もがく腕がばしゃばしゃ、水面を激しく叩きます。 ……そう。殴った相手はまだ生きていた…… 起こる波で船が転覆して、若者は頭から湖へザブン! 重い重い甲冑に、その身体を捕らわれて。まもなく深く暗い水底に沈んでいきました。 二人とも、ぶくぶくと仲良く……物言わぬ骸……魚の養分へ……。 ーーーーそれからですね。 鎧を身に纏う人が湖へ近づくと、青白くぬめった腕が足をつかんだり。無人なのに激しい水音がどこからか聞こえたり。するそうです。 甲冑を着た二人。水底をさ迷ってるんですねえ、まだ。」
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