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その日の夜。
少女は、兄から貰ったノートと鉛筆を使い、日記を書いた。
母から誕生日の知らせがあった事。誕生日に何がしたいかという願いを…。
日記を書き終え、少女は、いつもより少し明るめの歌を歌ってから眠りについた。
―――あと6回お日様が眠ったら、柚巴の誕生日…♪
母の言葉に疑問を持つこと無く、ただ単純に誕生日を楽しみにしながら。
次の日も、その次の日も
同じように楽しみにしている様子で、一日一日を終わらせていく。
誕生日に何が起こるかも分からぬまま、少女は独りぼっちで外で走っている自分の姿を想像していた。
時は過ぎ…
少女の誕生日当日。
いつもよりも早く起きた少女。
いつの間に来ていたのか、格子の向こう側には少女の兄である光雅。
光雅「柚巴、おはよう♪」
いつもと変わらずの優しい笑顔で挨拶をされる。
柚巴「おはようございます、兄上様♪」
少女は、兄に飛び付くように格子の方へと駆け寄った。
柚巴「兄上様!今日はねっ、柚巴が楽しみにしてたお誕生日なんです!」
光雅「知ってる。だから今日は、一番に祝ってやろうと早く来たんだ。」
うきうきとした様子で話す妹を見た兄は、更に嬉しそうに頬を綻ばせながら頷いた。
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