~少女の瞳~

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柚巴「あ、ありがとうございます!」 少女は、格子の柱を一本両手で握り締め、満面の笑顔で礼を言った。 光雅「今日は、外に出られる。柚巴は何がしたい?」 綻んだ頬をそのままに、兄は少女に質問してみる。 柚巴「えっと…沢山、走りたいです。それから…」 母「そんな話、しなくても良いです。…さっさと出なさい。」 兄に色んな事を伝えたかったが… それは遮られ、 いつの間に来ていた母が、格子の戸を開けた。 母は、相変わらず表情を持たない声音。 少女はそんな声に少し怯えるも、コクリと頷き格子から出た。 それと同時に、兄は少女を抱き締める。 光雅「やっと柚巴を抱き締められた…。」 心から嬉しそうにそんな事を呟くも、その行動すら母に制され、二人は引き離された。 母「光雅…?今回は特別許しますが、あまりこの子に触れないで下さいまし。貴方まで汚らわしくなったら、どうするのですか?」 光雅「…すみません、母上様…。」 この兄妹にとって、父と母は恐ろしい存在。 いつも兄には優しい母でも、今日はとても苛ついた態度をとっていた。
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