4人が本棚に入れています
本棚に追加
柚巴「あ、ありがとうございます!」
少女は、格子の柱を一本両手で握り締め、満面の笑顔で礼を言った。
光雅「今日は、外に出られる。柚巴は何がしたい?」
綻んだ頬をそのままに、兄は少女に質問してみる。
柚巴「えっと…沢山、走りたいです。それから…」
母「そんな話、しなくても良いです。…さっさと出なさい。」
兄に色んな事を伝えたかったが…
それは遮られ、 いつの間に来ていた母が、格子の戸を開けた。
母は、相変わらず表情を持たない声音。
少女はそんな声に少し怯えるも、コクリと頷き格子から出た。
それと同時に、兄は少女を抱き締める。
光雅「やっと柚巴を抱き締められた…。」
心から嬉しそうにそんな事を呟くも、その行動すら母に制され、二人は引き離された。
母「光雅…?今回は特別許しますが、あまりこの子に触れないで下さいまし。貴方まで汚らわしくなったら、どうするのですか?」
光雅「…すみません、母上様…。」
この兄妹にとって、父と母は恐ろしい存在。
いつも兄には優しい母でも、今日はとても苛ついた態度をとっていた。
最初のコメントを投稿しよう!