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どんっ!!
曲がり角を曲がった途端、誰かと勢いよくぶつかった。
「きゃっ!?」
ぶつかった勢いで思わず転んでしまいそうになる私の腕を掴んだのは、私にぶつかってきた「誰か」だった。
「ごめん!大丈夫!?」
「いったいなぁ~!ちゃんと前を見て…」
と、そこまで言いかけて、私の腕を掴む「誰か」を見て思わず言葉を失った。
私の目の前にいたのは、まさしく「王子様」だったから。
緩くウェーブのかかった金髪に、サファイアのような蒼い瞳。
どこからどう見ても、完璧な「王子様」だった。
「お…王子様…?」
ついうっかり言ってしまった痛い台詞に「王子様」は怪訝な顔。
「え?王子様?」
「あああああ!いっ、いやいや!何でも無いですッッッ!!」
しまった…初対面の相手に何言ってんだか…
赤面していると、「王子様」が
「あ、そんな事よりも…」
と、言いかけたとき、「王子様」の背後から
「居たぞ!あそこだぁ!!」
と言う怒鳴り声が聞こえ、数人の黒服のお兄さん(オジサン?)達が足早にこっちにやって来る。
「王子様」は、ニコッと笑うと、まだ掴んだままになっていた私の腕を引っ張りながら
「僕、追われてるんだ。」
「はっ!?」
「だから、一緒に逃げて!」
言うか早いか、そのまま腕を引っ張る形で走り出した!
「ちょ…!?待って!何でぇぇぇー!?」
私の魂の叫びは、虚しく街にコダマするだけだった。
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