それぞれの日常──幻夜『退学後』

4/7

76人が本棚に入れています
本棚に追加
/46ページ
「急がないと!」 優梨はパンを急いで食べ終わると服を着替えに行った。 小走りに出ていく優梨の後ろ姿は背中が丸見えで、内心かなりドキドキしてしまった。 「さて、俺も着替えるかな……」 食器を食洗機に入れると俺もリビングを後にした。 ── 「いってきまーす!」 「いってらっしゃい、車に気を付けろよ」 「はーい!」 制服に着替えた優梨は小走りで玄関から出ていく。 俺達の家は神山財閥から与えられた社宅だ。 神山駅から近く、さらに神山財閥本社にも徒歩5分ほどの距離だ。 しかも一戸建て住宅で新築だ。 副社長である神山 椿【カミヤマ ツバキ】様が結婚祝いだと言ってわざわざ新築にしてくれたのだ。 知っていると思うが俺と優梨は結婚している。 優梨はまだ高校生なので、学園でどのような反応をされるか心配だったが、意外にも皆は納得していたそうだ。 「さーて、俺も会社に行くとするか」 スーツに着替えた俺はカバンを持つと玄関から外へ出る。 そして、ガチャンとまだ新しいドアに鍵をかけ、会社のある方向へ歩き出した。
/46ページ

最初のコメントを投稿しよう!

76人が本棚に入れています
本棚に追加