それぞれの日常──幻夜『退学後』

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──GM 「ねぇ、幻夜? このネックレス、麗那にプレゼントしたら喜ぶかな?」 「仕事中なのでお答えできません」 「んー、こっちのブレスレットも良いんだけどなぁ……」 「ったく、行きますよ!」 俺は店の前でアクセサリー類を見ている仁さんを引っ張ると、再び歩き出す。 俺達が来ているところはEvery mix,GMという超大型ショッピングセンター。 神山財閥が経営する神山市では最大のショッピングセンターだ。 そこの経営を任されている人に会いに行き、新製品の説明と契約を取るのが今日の仕事だ。 ヴゥーーン 「ん?メールだ」 俺は最新型ではないがスマホを取りだしメールを確認する。 「……あの先生、仕事中にメールしてくんなよな……」 差出人は元俺の担任である桜小路 陽【サクラコウジ ヨウ】 。 内容は、長山 陸が授業中に寝てるから起こした方が良いかな?と言うものだ。 勝手にしろ。 と俺はメールを返信すると、ケータイをバイブレーションをならないように設定し、カバンになおした。 桜小路先生はこういったどうでもいいメールを良くしてくる。 おそらく出番が少ないのを気にしているのだろう…… 店内を歩いて10分ほどすると関係者以外は立ち入り禁止ゾーンにきた。 「仁さん、そろそろオーナー室に着きますから切り替えてくださいよ」 「お、もうここまで来たのか。 なら、しっかりとしないとな」 仁さんはネクタイを閉め直すとキリッと自分で効果音を立てて俺の前を歩き出した。 先程の言葉を訂正する。 この人は仕事中でもバカだ。
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