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プロデューサーの見事なアフターケアだったが、真はどうやら不満らしくヘソを曲げた。
「何が不満なんだ真? 好きな服を着るだけでお金が貰えるし、何より周りはお前みたいな格好をしてる奴らばかりなんだぞ」
「プロデューサーが僕のことをどういう風に思ってるかよく解りました」
「逆に俺がどんな風にお前を思ってたか気になる」
「昔、可愛いって言ってくれたじゃないですか!」
ここまで見た方なら解ると思うが今の真の言葉には若干の嘘が混じっている。
「自然体が可愛いと言った記憶はあるな」
「でしょ?」
「いや、お前の思ってる自然の頭には不が付くからな」
「そんなことないです! 自然体も自然体、アルティメットナチュラルですよ!」
なんだその頭の悪いネーミングは、というのはプロデューサー基準で悪口なので黙っておく。
「あんな人形がするような格好が自然な訳ないだろ」
真の可愛いという服装、それは所謂ゴスロリというものだ。
ゴシックロリータ……ん、スは何処から?
「お人形が着る服なんだから可愛いのが自然じゃないですか!」
その思考、もう手遅れと言っても言い過ぎではない。
女装している男はゴスロリフッションであることが多い。
その理由、それは身体のラインを隠す為、それを話したら真はどんなリアクションをするか、興味はあるが黙っておくことにする。
「お前は男らしい格好の方が自然だろ」
「僕が男っぽいって言いたいんですか!? プロデューサーもファンの皆と同じこと言うんですか!?」
「アイドルなんだからファンの要望に答えろよ」
それがアイドルとして当然のことなのだが、真はやはり納得がいっていない。
アイドルだって一人の人間、するべきことは解っていてもそれがしたいこととは限らないのだ。
「全く、真」
先程は何故か失敗してしまったが、今度は確りとアフターケアを行なう。
「男らしいことを気にしているようだが安心しろ。誰もお前のことを男なんて思っちゃっいない」
「そりゃそうですよ。プロフィールみたら一発でしょ」
「いや、お前のプロフィールからは意図的に性別の欄は消してある」
それを聞いた後の真は暴れに暴れ回った。
要するに元気になったということだ。
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