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その“生物災害”は不思議なことに、全世界で同時に訪れた。
一部の地域から徐々に始まったわけではないのだ。標準時では午後三時四十分。
“白の悪魔”が世界を襲った。
それは乳白色のスライムのような見た目をしていた。大きさは一メートル弱。
一見すると陸に打ち上げられたクラゲにも見えかねないこの生物。しかし、見た目に反してその生態は凶悪である。
まず、このスライムは肉食だ。それも人間を好むと言う。ぶよぶよとした体の下部にぱっくりと黒い穴が空いており、淵にぎざぎざした歯が生えている。
それだけではない。このスライムは思わず耳をふさいでしまうような“金切り声”を発する。そして標的が怯んでいる隙に、四メートルもある触手の先にある毒針で気絶させて捕食する。
人類は突如現れたこの正体不明の生物に沢山の犠牲者を出した。
その被害はスライム発生から三日で二億人という凄まじいものだった。
だが、これは序章に過ぎない。
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