白の悪魔と救世主

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白の悪魔は全滅したように見えたが、それは間違っていたのだ。 確かに“白の悪魔”はかなり数を減らした。しかし、それは一時的なもので、分裂を繰り返して増殖する彼らにとって、大したことでは無い。 さらに人類による殲滅から逃れたスライムは以前より進化してしまった。いや、正確に言うと進化ではないのだが、人類にとってはどちらにせよ最悪だった。 “白の悪魔”たちはその米粒程度の脳(一応あることが後に判明した)で、どうすれば人類を美味しく食べられるかを考えた。そして一つの答えを導き出す。 他生物との融合である。 彼らは地球上に住むあらゆる動物たちに寄生した。彼らが求めたのは強い肉体だったのだ。 彼らは動物の脳を貪り“知能”のみを奪った。そして、奪った知能の代役として自らがその肉体のコントロール権を得たのだ。寄生と言うよりは乗っ取りだろう。 こうして彼らは姿を変えて、再び世界の各地で地獄絵図を描いた。動物に寄生した“白の悪魔”は凶悪さが以前とは段違いであった。 為す術もなく蹂躙されていく人々。 絶望の淵に沈み、悪魔の手に落ちる前に自ら命を絶つ者もいた。 兵器もその圧倒的な物量により無力化された。いまや立ち向かうことはおろか、武器を手にする者もいない。 世界の終末が現実味を帯びはじめ、誰もが生を諦めかけたその時。 救世主が現れた。
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