村原 恵 (旧姓:佐藤) 29歳の章

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少し頬を高揚させ、街灯の灯りで唇に塗られたリップが光を反射させる… そのキラキラした恵に一瞬見とれる努… 「おいおいデコピンは無いだろ~!」 見とれたのを隠すかの様にそそくさと立ち上がり、額を右手でスリスリとさする。 「…もう帰るよ…さすがにこれ以上遅くなったら親に怒られる」 「ああ…じゃぁ送ってくよ…」 「大丈夫! 部活の帰りもたまに遅いし、慣れてるから… それに明日努は朝早いんでしょ?」 「朝練位大丈夫だよ」 「部長がそんな事言ってちゃ駄目じゃない… じゃぁねぇ!」 恵は駆け足でその場を後にする… 何か勿体無い気がして…私は努から逃げる様に家に向かった… こんなに胸が高まるなんて思ってなかったな… 焦って先に進みたくない… 努とゆっくり進みたい… このまま一緒にいたらもうパンクしちゃいそう…幸せ過ぎて… 恵が公園を抜けると、ポツポツと雨が降り出して来た。 「…嘘~! 雨~? うひゃぁ!!」 ポツポツと降り出した雨は、三分もしない内にどしゃ降りとなる。 恵は一旦シャッターの閉まった何かの会社の軒先へ避難する事にした… 「貼り付いて気持ち悪いなぁ…」
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