イケメンペットハンター

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 5月下旬ーー。  ーー初夏の午後は、都会のアスファルトに反射する熱によりジリジリと焼きつけられるような嫌な暑さを作り上げる。  そして、暑さの原因は日差しばかりではなく、都会に密集した人の多さにも原因があるだろう。  人の歩く音、声、様々なものにより、視覚、聴覚、触覚を支配され更なる暑さを感じる、それが都会の夏である。  『ねぇねぇ、知ってる?』  公園のベンチに座りソフトクリームを舐めながら話す女子高生二人。  『えっ、なになに?』  もう一人の女がソフトクリームのコーンの部分をパリパリと音を立てながらも聞き返す。  『イケメンペットハンターの話!!』  『あーっ!! 聞いたことあるかも!!』  『前にお母さんがうちの犬逃がしちゃったときに頼んだ相手がそのイケメンだったらしいのよ』  『へぇー、らしいってことは見てないんだ?』  『残念ながら……だって依頼してものの1時間で見つけちゃったみたいでさ』  『えー!? それは盛りすぎでしょ!!』  『いやいや、それが本当なのよ』  『すごいなぁ。 私の家のハムスターが脱走したときにでも頼もうかな?』  『あっはっは!! それは厳しいでしょ』  『だよねー。 あはは!!』  二人の女子高生が笑いながら他愛のない会話を終えてゴミ箱にプラスチック製のスプーンを捨ててその場を去っていった。  
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