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「ふふっ、私のファン予備軍だろうか」
去っていった女子高生達の座っていたベンチの後ろの木に持たれかかって不敵に笑い長い前髪をかきあげる男がいた。
綺麗に整った顔とセットした髪型には似合わない服装、上下黒いジャージを着ていて手には軍手を装着していた。
「さて、仕事の時間だ……」
男がそう言うと、ケータイの画面に映っている可愛らしいチワワの画像を見るとケータイをポケットにしまい、黒いニット帽を被り歩き出した。
男が歩くこと10分、薄暗い路地裏に入っていく。
人の気配は全くなく、男は無言で狭い道を歩いて行く。
突き当たりを右に曲がった瞬間、男が急に足を止めて少し引き返して壁に背中をくっつけて警戒するようにゆっくりと壁から顔を覗かせた。
「ターゲットロックオン……!! 距離は3メートルってところか。」
男は口元を緩ませて深呼吸をして、何かを決心したかのように軽く頷き、先程覗き込んだ道へと強く一歩踏みだし、勢い良く飛び込んだ。
「うおぉぉぉぉぉお!!」
…………
……
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