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「ありがとうございます!! 藤堂さんに頼んで正解でしたわ」
「あはは、またお困りのことがありましたらいつでも藤堂探偵事務所へ」
先程の男が今度は綺麗なスーツを身に纏い、紅茶の入った高級そうなカップを片手に持ちソファに座り優しく微笑む。
それに向かい合ってソファに座っている綺麗な女性も上品に笑いながら膝の上には男のケータイに映っていた写真のチワワがちょこんと座っていた。
「本当に感謝しております。 この子はうちの家族同然、あなたは私の家族を救ってくれたのです。 報酬はいくらでも払います」
女性がそう言いながらブランド物のバッグからこれまたブランド物の財布を取り出した。
その様子を見ても、この男、藤堂保尚(とうどう やすたか)は動じずに優雅に紅茶の香りを楽しんでいた。
「報酬? とんでもない。 貴女のような美しいお方の笑顔が見れた、これ以上の物はいただけませんよ」
「まぁ……藤堂さんったら……」
爽やかな笑顔でくさい台詞を恥ずかしげもない様子で藤堂が言うと、女性は頬を赤らめて少し俯いてしまった。
「しかし、報酬ですか……もし貴女が不快でなければ今度ご一緒に食事でも如何ですか? 美味しいパスタの店を知っているのですが」
「不快だなんてっ!! そんなこと……私なんかでよろしければお願い致します」
「そうですか、嬉しいです。 では、お渡しした名刺に連絡先が記載してあるので貴女からのお誘い心よりお待ちしております」
「はい!! この度はありがとうございました。 それではまた」
女性が笑顔でペコリと頭を下げて扉を開けて出て行った。
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