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『昨年、桐崎島で42歳男性が謎の死を遂げた怪事件。 3年連続で毎年5月の下旬に一人が死ぬ。 島民の間では妖面の呪いと言われており、不気味がられているようです。 そして、今年は4年目の呪いにより島民の誰かが呪いを受けるという噂がーー』
何やら物騒なニュースが放送されているが、藤堂は涼しげな表情で冷めた紅茶を飲んでいた。
そのとき、不意にインターホンの音が部屋に響き渡り藤堂はゆっくりと立ち上がりネクタイを締め直して微笑んだ。
「今日は大忙しのようだ」
ドアをゆっくりと開けて笑顔で客人を迎えた。
「ようこそ、藤堂探偵事務所へ」
「あの……」
扉を開けた先にいたのは身長150cmにも満たない程の小さな女の子であった。
「おやおや、可愛らしい客人だ。 迷子にでもなったのかい?」
「いや……」
「まぁ、詳しい話は中で聞こう。 入りたまえ」
何か言いたげな少女を無視するかのように藤堂が喋り、部屋の中へと招いた。
「オレンジジュースで構わないかい?」
「えっ? あっ、はい」
ソファに座らせた少女にウサギの絵が描かれた可愛らしいガラスのコップを手渡して藤堂もソファへと腰掛けた。
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