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一般的な見地で言えば、特別褒める点も貶す点もない、と自分では思っている。
年相応の容姿と知能を持つ、どこにでもいる普通の女の子だ――多分。
その判断に自信が持てない理由のひとつは、周りにいる女性達が揃いも揃って魅力的過ぎるからだ。
上品で美しく、明朗で嘘のない彼女らの中にいれば、こんな地味な女の子など埋もれてしまって当然だろう。
とはいえ、そのことについて、ないものねだりから来る羨ましさはあるにしても、意地汚い嫉妬に駆られたことはない。
普通――それこそが、長い間自分が望み続けていたことだからだ。
先日の事件以来、周知の事実となってしまったあの件を持ち出せばそれだけで異常の塊ではあるが、外見に然したる変化はなかった。
ギルドマスターの指示で受けるようになった毎日の検診でも、医療隊員が震えあがって三帝に助けを求めるような結果は出ていない。
異常なしという言葉のあとに、最近幸せが顔から滲み出てるわよ。という余計なお節介はついてくるが。
本当に普通の――腕の忌まわしい模様と胸の傷がなければ自分でさえ信じられないようなほど――当たり前すぎる人間だ。
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