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「や……やめて!お願い……ゆ、許して!許してください……」
全身ずぶ濡れで痣だらけの私は、容赦なく殴ってくるクラスの女子二人組に必死に哀願する。
これで何回目だろう……。
何度も何度も哀願しようが、コイツらは私を嘲笑い、楽しそうに暴力を振るい続けている。
意味のある殴られ方をするサンドバックの方がまだマシだ。
今の現状を見たら誰でも同じ事を思うはず……。
そう……誰でも。
「ああ?許してくださいだぁ!?ふざけんな!沙梨乃の彼氏たぶらかしといて何言ってんだよ!お前に許しをこう資格なんかねぇんだよ。そうだよな?美子(ミコ)」
「そうそう!莉奈(リナ)の言う通り。アンタみたいな最低な女が少しは自分の身の程を考えなさいよ!」
二人は私に罵声を浴びせる。
そして、美子と呼ばれる女子が私を羽交い締めにすると、莉奈と呼ばれる女子は私を睨みつけ胸倉を掴んだ。
女子と思えないくらいの強い力で捕まれているせいで、とても息苦しい。
いっそ、このまま殺してくれたらいいのに……。
息苦しいのと悔しさと悲しさで私の顔は真っ赤に染まっていく。
知らなかったの……!本当に知らなかったのよ!
何で?あんなに謝ったのに……ちゃんと別れたのに何で許してくれないの?
……ねぇ、どうして?
「アハハ!見てみろよ美子。コイツの顔、茹でダコみてぇ♪」
莉奈は笑いながら、胸倉を掴んでいる手に力を入れる。
徐々に息苦しさが増していく。
「キャハハ!本当だぁ♪この顔、沙梨乃に見せてあげなきゃね!」
余りの息苦しさに、私の意識は飛びそうだった。
二人の声が微かに耳につく。
ああ、私……このまま死ぬんだ。
そう覚悟した瞬間、急に息苦しさがなくなり、体が楽になった。
天国に着いたのかな?と思えるくらいに。
しかしそれは勘違いで、もう一つの悍ましい声が私を現実に引き戻した。
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