星の砂

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.  そして私は悪魔をこの世から抹消するために、手順通りに実行し始めた。 「ふふふ、やってるね」  指示通りに東の海岸で星の砂を集めている私の前に、硝子瓶をくれた怪しい男が現れた。 「……、はい」 「ふふふ、願いが叶うと云われる星の砂……、その粒は全てこの世から抹消された人々の魂の脱け殻なのさ」 「えっ?」  私は星の砂を集める指を一瞬引っ込めた。  碧白い月明かりに浮かぶ怪しい男はニヤニヤと不気味な笑みを浮かべいた。 「ふふふ、では」  怪しい男はそう言うと、碧白い月明かりの中に吸い込まれるように姿を消した。 「魂の脱け殻……」  怪しい男の言葉が暫く耳から離れなかった。  どれだけ大勢の人間が私と同じような犠牲になってるのだろうかと考えていた。  犠牲の形はそれぞれ違うのだろうけど、人間の愚かさと欲望に飢え、狂った悪魔の犠牲者は私だけではなかったのだと、やるせない思いと怒りと怨みが「消えろ」という言葉に一層強い念を送った。  42粒の星の砂を集め終えた頃には、私には無用だと思っていた太陽の光が東の空を赤く染め始めていた。  そしてその日の深夜、私は部屋で人差し指の先に針を刺した。  ジワリと滲み出てくる鮮血を白い紙になぞり、義父とお婆ちゃんの名前を書いた。  書き終えた紙を42枚になるように細かく千切る。 「消えろ」と言う言葉と紙がビリッと千切れる音が私の部屋の中で息づいていた。  42枚に千切った紙を星の砂が42粒入っている硝子瓶に入れた。  そして最後の手順。  深夜午前2時42分、義父の車に忍び込んで、運転席の裏側に硝子瓶をガムテープで張り付けた。 「消えろ」と42回唱えながら……。 .
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