星の砂

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.  その日の朝、一睡も出来なかった私はリビングへと降りて行った。 「おはよう」 「……」  悪魔の義父が朝刊を読みながら気持ち悪い声を出した。 「今日は日曜だしみんなで藤の花を見に行こうかと思ってさ、飛鳥も行くだろ?」  悪魔が私に視線を移した。 「用事あるから」 「そうか、残念だな」 「今どきの子は無愛想だねぇ」  悪魔のお婆ちゃんがお茶を啜りながら嫌みを言う。  いつもならこの悪魔二人の声を聴くだけで激しい吐き気にトイレに駆け込んでいたのに、今日の自分は冷静だった。 「じゃあ、三人で行くか」 「あっ、お母さん買い物に付き合って」  咄嗟に私は嘘をついた。  お母さんが犠牲になることは無いからだ。 「今日じゃなきゃダメなの?」  義父とお婆ちゃんの顔色を伺いながらお母さんが聞いてきた。 「うん、どうしても」 「仕方ない子だわねぇ、あなた、お母様と二人でのんびりしてくれば?」 「……、あぁそうするよ」  朝刊を読みながら義父がお婆ちゃんの顔を見て、ニヤリとしたのを私は見逃さなかった。  きっとどこかのホテルか人気のない所で思いっ切り交尾をするのだと頭の中で横切った。  途端に吐き気が私を襲いトイレに駆け込んだ。  嘔吐を終えて、流し終えて溜まった便器の水面に、ニヤついた私の顔が揺れていた。 ーーー ……、消えろ。 ーーー .
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