星の砂

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. 「……、そんな事が本当にできるんですか?」 「あぁ、できる……、だから君を待っていたんだよ」  私は怪しい男が言っていることを半ば信用していた。  それは、誰も知らない筈の悪魔達の狂った行為を目の前の怪しい男は知っていたからだった。  どうせ明日、私は悪魔達の前で死ぬんだ。  だったらこの怪しい男が言うことが例え偽りだとしても、別になんのリスクも背負わない。 「じゃあ、赤いラインの瓶を……」 「赤を選ぶんだね?」 「……、はい」 「最後にもう一度聞く。選択を変えることも、取り消すこともできない……、赤でいいんだね?」 「……、はい」  怪しい男は「ふふっ」と笑いながら私に赤いラインが入った小さな硝子の小瓶を手渡した。 「で、これをどうすれば?」 「ふふふ、その前に忠告がある。約束を守らなければ君は一生を掛けて奴に犯され続ける……、勿論、自殺の選択肢など無い」 「えっ? 約束……?」  私は握り締めていた硝子の小瓶をもう一度見つめて、また握り締めた。 「では君が守るべき約束を伝えよう」 「……、はい」 「君が四十二歳を迎えるまでに結婚し子供を授かる事だ」 「えっ?」 「今の君には残酷な約束だ」 「結婚なんて、増してや子供を産むなんて……、あの忌々しい行為を受け止めることなんて、無理です」 「だよね、ふふふ」 「……」 「もう、後戻りはできない」 「……、結婚できなかったら四十二歳からまた犯されるんですか?」 「いやそうじゃない、君が四十二歳になって未婚であれば、時間が逆転して今日に戻る……、地獄に逆戻りってことだよ。そして犯され続けていく。自殺の選択もできないし、悪魔達を抹消することもできない。ふふふ」 .
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