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あのおぞましい悪魔の儀式から解放されるなら、それで私の身体に光が解き放たれるのなら、もう後戻りができないなら、そう思った私は怪しい男の前で頷いた。
「ふふふ、では悪魔をこの世から消す手順を教えよう」
「……、はい」
「あっ、その前に一つだけ教えてあげよう」
「はい?」
「君はまだ半信半疑だからさ、ちゃんと事実を教えてあげるよ」
「……、はい」
「良く耳にする話しだ、不可解な事故あるよね?」
「えっ?」
「例えば、交通事故」
「……」
「見通しの良い真っ直ぐな道路で電柱にぶつかって即死や山間のカーブでの転落事故」
「はい」
「ふふふ、それは全て赤い瓶の仕業さ、ふふふ」
「えっ?」
「どうだい? 少しは信じたかい?」
「……、はい」
私は握り締めた硝子の小瓶を強く握り直した。
握り締めた手のひらが汗ばんでいるのがわかった。
「では、教えよう。悪魔を抹消する手順を」
怪しい男はスーツの内ポケットから黒い便箋を取り出した。
「全て此処に書いてある。では……」
怪しい男は黒い便箋を私に手渡すと同時に、姿を消した。
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