88人が本棚に入れています
本棚に追加
「───はっ、あ、はあっ、はあっ、はあっ……」
アラームの音で目を覚ました。
気がつくとそこはいつもの見慣れた僕の部屋だった。
僕は僕の布団で眠り、夢を見ていた。
夢……?
なんの夢を見た?
思い出せない。
額に汗がにじんでいた。
よほど怖い夢だったのか。
いまは何時?
***
8月14日。
午前12時すぎくらい。
やけに蝉の声煩いのを覚えていた。
(結局なんの夢を見たんだろう……?)
今朝からなぜかずっと気になっていた。
今日も、君と公園でテキトーに駄弁る。
君と僕の目が合った。
ふいに、不思議と、夢の内容を思い出した。
「もう今日は帰ろうか」
なんだかいいようのない焦りが僕を襲う。
危機感。
切迫感。
どれも違うような気がしたけれど、とにかく夢があまりにもリアルだったから、いいようもしれない静かな恐怖が無害な毒のように僕を侵す。
ふたりで公園を出た。
道に抜け、トラックも赤信号も大丈夫だったことを確認した。
ほ、と息をもらす。
(気にしすぎ、だったかな?)
周りの人はみんな、上を見上げて口を開けていた。
最初のコメントを投稿しよう!