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「もう今日は帰ろうか」
驚いた。
こんなパターン、あったっけ?
初めて君が言ったそのセリフに、なんだか私は怖くなった。
まさか、また代わりに君が死ぬつもりじゃ───
……させない。
もう、何度も君が死ぬところは見たくない。
今回はどんな死に方だろう?
なんにしろ私が危険をいち早く察知し突っこんでいかなければ。
君についていく。
道に抜けたら道路があったが、二度連続でおなじ死に方をしたことはないので、絶対的な確証はないが轢き殺されるわけではないだろう。
なにも見逃さないように、あたりを見渡す。
すると、周りのひとが上を見上げて口を開けていた。
私も上を見た。
鉄柱がいまにも落ちてきそうで、
───私に鉄柱が突き刺さった。
(ああ、よかった。今回も私が死ねた……)
貫かれた痛みで顔の神経が麻痺していくなか、先に死ねた安堵で少し笑えたような気がした。
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