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君は私の代わりに死んでしまった。
私は君が死に続ける記憶を忘れて一日をのうのうと生きるのだろう。
君が死に続けていることに気がつくまで、どれくらい時間がかかるか。
いま考えていることも、明日になれば忘れてしまう。
君の血飛沫を見ながら、赤い目の陽炎の嗤い声で頭を埋めつくされた。
どうか、ちゃんと覚えていて。
この出来事を夢と思わないで。
忘れないで───。
***
───アラームの音で目を覚ました。
今日は8月14日。
ベッドの上。
今回は起きてもなお、夢と記憶のすべてを思い出していた。
だが、すでに君は何百回も何千回も何万回も私の代わりに死んでしまっていた。
少女はただ、「またダメだったよ」と、ひとり、猫を抱きかかえていた。
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