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私は呆然とラジオを眺めていた。
あまりの衝撃にからだが動かなかった。
なんだろう、これは。
ラジオはとまった。
音がなくなり、この部屋は無音になった。
途端、ばさばさとなにかが羽ばたくような大きな音が外から聞こえてきた。
急いで窓を開けてたしかめる。
外は大きな鳥たちが、空を覆い尽くしていた。
「……うそ………」
鳥などの動物は、命の危機を感じると大移動をするという。
鳥たちはどこかへと向かっている。
もしかして、さっきのラジオは───……。
考えるよりも先にからだが動いていた。
震えるからだをいなすように、すぐにヘッドフォンをした。
鳥の羽ばたく音は聞きたくない。
音楽をかけようと、ミュージックプレイヤーの画面を見た。
突然画面が、不明なアーティスト項目の、タイトル不明のナンバーに切り替わった。
途端にヘッドフォンから音が流れ出す。
あ、れ。
私まだ、音楽はかけていないのに。
「生き残りたいでしょう?」
……!?
この声、は。
どう聞いても、聞き飽きた自分の声だった。
「何がどうなっているの……!」
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