新しいスタート

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ウチでは入学式と始業式を一辺に行う。その為この後グラウンドにクラスごとに集合する事になっている。 グラウンドに到着すると、結構な人数の生徒が集まっていた。えっと各クラスのプレートの前に… 「あっ、あそこだよ!」 「わっ、引っ張るなっての!」 おれの手を掴み引っ張っていく愛。引っ張るなよ、恥ずかしいったらありゃしない。 「ん、やぁ愛、それにけーちゃん。」 げっ、この声にその呼び名…それにあの姿は間違いなく… 「水野…」 「って、人の顔見てあからさまにがっかりするんじゃないよ。」 こいつは水野 孝(たかし)。去年も同じクラス…というか、小学校の頃からずっと同じクラスの超腐れ縁だ。愛みたいに家が隣とまではいかないが、主に学校では水野、家では愛に振り回されている。 因みにこいつまで『けーちゃん』と呼ぶのは…からかう奴らの主犯がこいつだったからだ。まあいつもそう呼ぶわけでもないんだが。 三人で同じクラスになる事もあったし、おれと愛、おれと水野と、二人と接点があるおれを通していつからか知り合いになっていった。 「今年は愛も一緒か。まさかまーた同じクラスになるとは。また一年間よろしく。」 「コチラコソヨロシク。」 「棒読み!?本心は?」 「願い下げだバカ野郎。」 酷いなあ、と笑う水野。こっちは笑い事じゃない、こいつと一年間を共にするかどうかでおれの学園生活が決まってくるのに… そもそもおれが『けーちゃん』とからかわれる由縁を作ったのがこいつだ。悪ふざけだったんだろうが、そのせいでおれはクラスの連中のほとんど(主に男子)から散々言われてきたんだ。それにクラスが違っても度々愛はやってきたし…その関係でも結構からかわれた。 「二人はいつも一緒だねぇ。ラブラブで羨ましいよ。」 「いやぁ…」 「照れるな否定しろよ!そしてお前もう黙れ!」 そんなに悪い奴ではないんだが、こいつの人弄りは度が過ぎている。されている方が苦痛と感じればそれはいじめだと教えてやろうか。 「あ、そろそろ始まるみたいだよ。」 水野の言葉に、生徒列の先頭中心にあるやたらでかい台に目を向ける。まずは入学式が始まるみたいだな。
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