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来た来た。大方愛を連れ戻しに来たんだろうな。
「はいはいーっと。」
ドアを開けると、そこには顔馴染みが立っていた。それもそのはず、彼女の名前は平瀬 春香。愛の妹だ。
「いらっしゃい、春香ちゃん。」
「おはようございます。あのー、こちらにお姉ちゃん、お邪魔してませんか?」
愛と同じ桃色の髪に瞳。だが愛とは対象的な腰まで伸びた長髪に姉妹で同じ猫みたいな大きな瞳、そして見るからに真面目そうな印象を受ける容姿だ。髪の長さ以外なら愛と春香ちゃんの見分けはつかないかもしれない。
「あぁ、察しの通り。上がってってよ、丁度オムライス出来たとこだし。」
「すみません、お姉ちゃんのことも、ご飯もいつもいつも…」
「気にすんなって。愛のことはとっくに慣れたし、皆で食べた方がご飯も美味しいだろ?」
そう、愛と春香ちゃんの両親は、二人が小さい頃に事故で亡くなった。その後本人達の意見を尊重するとの事でどうしたいか聞いたところ、当時から付き合いのあったおれや母さんと離れたくないとの事で隣の家に住み続けることになった。
まあ、飯は家でご馳走したり、寝に来たりするが…飯はともかく寝に来るのは勘弁してもらいたい。愛も春香ちゃんがいるんだから、二人で寝たらいいのに…
「あの、どうかしました?」
「え?あぁ、何でもないよ。さ、上がって上がって。」
「お邪魔します。」
どうやら黙っていたのを不審がられたみたいだ。まあ見つめられながら黙り込まれたら、そりゃそうなるな。
時間を確認すると七時になっていた。うん、まさに理想の光景だ。
「あ、あの…圭斗さん…」
突然、春香ちゃんがもじもじしながらおれの方に向き合ってくる。何だろう、トイレだろうか?
「これ…どう、ですか?」
そう言って自分の制服を見せてくる。あぁ、確か今日は、春香ちゃんの入学式でもあったな。それも俺の通っている学園に。
おれの通ってる学園、宝城学園の制服は、男女共に主に白が主張されている。大まかには、白の上着やカッターシャツ、男子は青い色のズボンで女子は赤い色のスカートだ。互いに、それぞれ黒のチェックが入っている。
「あぁ、凄く似合ってるよ。」
彼女の桃色の長髪が、白い制服とマッチしている。しかも容姿と相まって、凄く清楚だ。
「あ、ありがとうございます…」
すると彼女は顔を赤らめ俯く。風邪だろうか?
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