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「か・・・さん」
母さん?
そう言ってくる衣玖に何だと思い、顔を見てみるが、
「あったかい・・・」
どうやら寝てるみたいで、っておい!
どうして抱きしめられてるって言うのに寝るんだよ!お前は子供かって思っていたのだが、こいつの気持ち良さそうに寝てる姿を見るとそんな気持ちも消えて、可愛いなんて思う。
俺は寝ている衣玖の片方の腕を通し、もう片方で足の裏に入れた。
諸謂、姫抱きという奴だ。
そのまま衣玖を連れて部屋に入る。
ベットに寝かすために電気をつけると俺は固まった。
何故なら、部屋にはベットとノートパソコンしかなかったから。
俺だってそんな物に執着心があるわけじゃないが、こいつはそれ以下だ。
衣玖をベットに寝かせた。
軽すぎると思った。こいつはちゃんと飯食ってんのかと。
このやせ細った身体に何を背負っているのだ。
何故俺がこんなに衣玖を思うのかわからないが、悪くないと思った。
衣玖の部屋から出て自室に戻る。
俺がこの感情に気づくのはもう少し後になる。
end
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