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ー「衣玖、お前にやってもらいたい仕事がある。引き受けてくれないか?」
「俺、そっち本業じゃないんだけど」
ー「まぁ、何だ。細かいことは気にすんなよな」
「完遂したら、125万くれる?」
ー「おいおい、相変わらず高ぇな」
「これでも安い方だよ。臣じゃなかったらこんな安くしないもん」
ー「あいよ。仕事終わったら俺のとこおいで」
「りょーかい。じゃっ」
ピッ携帯電話を切る。
何かね、臣が俺に犯罪者捕まえて来て欲しいんだって。
俺が情報屋って知ってんのに、こういう仕事たまに俺に回してくるんだよね。
臣さー、警察のトップに君臨する存在なんだから自分でやれよな。
んじゃ、準備もできたことだし、情報屋infinity、行ってきまーす♪
第3者side
「ハハハッ!上手く行ったなあ。ウゼェサツどもも撒けたしよおハハッ」
静寂の夜に無粋な声が街の裏道から聞こえる。
周りには誰1人といない。だが、それもつかの間で、コツン コツン と何かが忍び寄る足音が聞こえ始めた。
「だ、誰だ?!」
コツン
『誰だ、なんて酷ーい。自分の彼女に対して言う言葉?』
男の背後から聞こえる含みのある女の甘い声。
「あーなんだ。お前か」
知り合いの声なのか、安堵して振り向くが
「?!」
いたのはフードを被った子が1人いるだけだった。
「ああ?誰だてめぇは」
『ひっどーい。あんなに心を通わせたなかじゃん♪』
「あ?ふざけんじゃねぇーよ。誰がお前なんかと」
微かだが、男の声は震えている。
怖いのだろうか。自分の知り合い、彼女の声に、似ているから。
『ふざけんじゃーねぇーよ、はお前だぞ』
「なっ?!」
男はさっきより、なお一層震え始めた。
何故なら、自分と似た声、いや、全く同じ声だったから。
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