203人が本棚に入れています
本棚に追加
「なっ、何だよ?!おめぇは!!」
震えて怯えながらも、威嚇するように攻撃するが
『隙だらけだぞ。そんなんで俺に敵うと思うなよ』
全て避けられる。
次の瞬間、男は
「ぐはっっ・・・!!」
フードを被った少年に蹴飛ばされ、その場で倒れ込んだ。
『殺人に麻薬販売、さらには売春、窃盗罪により、貴方を逮捕します』
「・・・っっ」
男と同じ声だが口調が合わない。だが、それがより一層男の恐怖心などを煽り、男にはもうなす術がなかった。
フードの子は男をぐるぐる巻にして、身動き取れないようにしてから懐から携帯電話を取り出して誰かに電話をかけた。
『只今ターゲット捕獲しました。直ちに回収をお願いします』
ー「今、俺の部下を向かわせるから見張っておけ」
『了解致しました』
フードの子は携帯に電話を切り、男へと向き直った。
『これから貴方は今までの罪により裁かれることでしょう』
「・・・」
男は怖くて何も言えない。
自分と同じ声を聞いて、いい思いする奴はなかなかいないだろう。
それに、男には、もう一人の自分に言い聞かせてるようにしか聞こえない。
『怖がる必要はありません』
いや、フードの子がそうなるように、錯覚に陥らせてるのだ。
『貴方は、今までそれと同じことをしてきたのですから』
子は、男をあざ笑うように綺麗に、儚く、妖しげに笑った。
それはきっと、男には、もう一人の自分に笑われているようにしか、見えないのだろう。
end
最初のコメントを投稿しよう!