27人が本棚に入れています
本棚に追加
アリスが泣いていた。悲しげに嗚咽をあげて。
立ち上がろうとはしない。
「……アリス。立って。立ち上がって……奇跡を見に行こう」
私はアリスに声をかける。
「だって……あの二人は……」
泣きじゃくるアリスに更に声をかける。
「私を見て、アリス」
そうして私はかつてのこの世界の姿を形作る。
かつてこの世界が“地球”と呼ばれた頃の姿に。
無機質な銀の球体に、フォログラフィを載せ、青い星の姿を形作る。
ナビィと呼ばれ、時に意志持つ地球儀と呼ばれた私。
「アリス……キレイだろう? これがこの世界の真の姿だよ。アリス……奇跡を見に行こう。そして……奇跡と共に、世界を取り戻そう」
そうして、座標軸を示す。
「アリス……奇跡の場所はここだ。立ち上がって……一緒に奇跡を見に行こう。もちろんあの二人も一緒に」
アリス。私の愛する人。この絶望的な世界で出会った――私の奇跡。
こんなところで終わらせない。
アリス。
君には、幸せになってもらいたい。機械の私が愛することの出来た奇跡の少女。
私のアリス。
最初のコメントを投稿しよう!