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アリスと出会ったのは、半年前。打ち捨てられたビルの廃墟の中だった。
誰にも見つけて貰えず、このまま朽ち果てていくのかと絶望しながら、意識を閉じかけていた時だった。
どんがらがっしゃんがっしゃんパリーン!!
マンガ的表現な音。そんな比喩が相応しいような音と共に、上から降ってきた少女。
それがアリスだった。
私の目の前で、痛みに呻きながらフラフラと起き上がり、私をじっと見つめて発した第一声は
「ここはどこ? そしてあなたはなぜここにいるの?」
だった。
いや、それはこちらのセリフですよ。あなたは何でこんなところに降ってきたの?
そう問えば
「いや……“あいつら”から逃げてて、瓦礫の山に隠れたら、足場のうっすいところを踏み抜いて……」
あははと照れたように笑いながら、そう答えた。
なるほど。
納得して、今度は自分の状況説明を簡単にする。
ほとんど体力が残ってなかったから、本当に簡単に「死にかけています」とだけ説明した。
すると彼女は、ゆっくりと優しく私を抱き上げ、そのまま廃墟から私を連れ出した。
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