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「まったく……だから外を一人でほっつき歩くなって言ってんのに……」
ハンプティがぶつぶつと小言を呟く横で、ハッターが私に手を伸ばしてきた。
「調子が悪いようだな? どら、貸してみな? 診てやるよ」
アリスがそっと、私をハッターに手渡した。
「え!? あんた大丈夫なのかい!? ちゃんと治せるの!?」
「うるせぇよ!! 俺様を誰だと思ってやがる!? もと一級機械鑑定士の……」
「ハイハイ、マエストロ・ハッター様でしょう? 耳にタコが出来るほど聞いたわよ」
二人の掛け合いを聞きながら、思わずクスリと笑う。自分が死にかけていることも忘れて。
「お。良い顔で笑うじゃねぇか、おめぇ。そんだけ元気があれば、大丈夫だな」
ハッターが嬉しそうにそう言いながら、アリスにグッと親指を立てて見せた。
「心配するな、アリス。マエストロ様が診るんだ。大船に乗ったつもりでいろ!!」
「泥船の間違いじゃないの?」
二人のやり取りに、アリスと私の笑い声がハモり、その瞬間、私はこの不思議な三人の仲間――家族になったのだった。
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