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私は三人が大好きだった。
気難しいハッターやお調子者のハンプティのことが大好きだった。
そして、アリス。
愛らしくて良く笑う君のことが大好きだった。
いや、愛しているのかもしれない。
だから“あの声”――弱々しいながらも力強く聞こえてきた、ラジオの電波。
それを拾い上げた時、私は本当に嬉しかった。
大好きな三人に、愛している君に、奇跡を見せてあげられると思ったから。
「本当に……ラジオの電波だったのかい?」
ハンプティが興奮した口調で私に詰め寄る。
「それが本当なら……お手柄だぜ!! 白ウサギ!! 最高の男だ!! おめぇは!!」
ハッターが私の頭に自分のキャップを被せる。
「凄い凄い!! 大好き!! 白ウサギ!!」
アリスが感極まって、私に抱きつく。
思い思いの方法で喜びを分かち合った後、アリスが再び口を開く。
「ああ!! 早くその場所に行きましょうよ!! 明日にでもここを出発しましょう!!」
「こらこら、アリス。早まるんじゃねぇよ。まずは場所の確認からだ。白ウサギ、ラジオの電波がどこから来てるのか、だいたいの位置はわかるか?」
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