江川憂編

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授業中、俺は窓の外を静かに眺めていた。 俺の席は窓際の一番後ろ。30の席が存在するこの教室では、結構嬉しい偶然だろう。 教室は三階にあり、見晴らしがとてもいい。 窓の外は雲一つ無い快晴。空など興味はないが、この快晴は素直に美しいと思える。 視線をもう少し下に移すと、自然の緑が目に入った。 高校二年目の春が過ぎ、充分に暖かくなったこの季節。あと2週間程で学校は夏休みを迎える。 更に視線を下に移す。 この時間に体育の授業はないようで、グラウンドはとても静かだ。 少し目を凝らすと、グラウンドの端に猫が寝ているのが見えた。
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