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気がつけばあたしは夢を見ていた。
幼き頃のあたしとおばあちゃんが目の前にいる。
「ねぇ、ばあば。
どうして萌にはママがいないの?」
小さい頃のあたしが大好きなおばあちゃんの膝の上に座りながら
子供ながらに寂しさを抱く
お母さんという存在を初めておばあちゃんに
問いかけていた。
運動会も遠足も、おばあちゃんだったあたしは
回りの子のお母さんとおばあちゃんは
違うと気づいたのは結構早かったかもしれない。
運動会の度におばあちゃんの作るお弁当には
海老の天ぷらが入ってて、
あたし本当は海老フライをおねだりしたはずなのに、
それでもニコニコ笑うおばあちゃんの笑顔は海老フライよりも大好きだった。
キムチと苺って合わさると臭いのに
それでも大好きだった。
お弁当も、おばあちゃんも。
おばあちゃんは
今でも大好きで唯一の理解者。
たった一人のあたしの家族なんだ。
そんなおばあちゃんは夢の中の小さなあたしを
悲しそうな顔をしてあたしを抱き締めた。
『お母さんはね、
遠いとこで萌のためにお仕事してるんだよ。
だから、おばあちゃんと一緒にいい子に
寝ようね。』
おばあちゃん…。
会いたいな。
『……おいっ……いっ!…』
遠くであたしを呼ぶ声がする。
優しくて暖かくて心地よい声。
『………い、……おいっ、!…』
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