初陣

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ははは、と笑うグラントは多分、今後呼び方を変える気はないだろう。 「大変ですね」とヴァイスに向けて言うが、当の本人は「いや」と否定する。 「悪くない」 俺には彼が少し嬉しそうにしている気がした。 「だろ? 本人も認めてるじゃねぇか」 グラントが勘違いするが、ヴァイスはそれも特に気にしていない様子だった。 なんだか、と俺は思う。 (なんだか、俺の想像していたものと違うな) 何が、とは言い難いが、まさか戦闘前にこのような会話があるとは思わなかった。 「まぁ、本人がいいっていうならいいんですけど。それよりほら! 先輩! あ、二人ともそうか。隊長! とっととプラント占拠して行きましょうよ」 かなり時間をかけて本来の目的を思い出したようだ。プラントを見つけたのでこれでは、まさか敵を発見したら作戦会議にはいるとか言うんじゃないかと冗談のような事が浮かぶ。 「おし、じゃあそろそろ気合い入れていくぞ。さすがにちょっと喋りすぎたな。敵が急いでこっちに向かってたら、もうあんまり時間がねぇぞ」 そう言うとグラントはプラントに近づいていく。気づけばもうすぐそこにそれはあった。
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