6人が本棚に入れています
本棚に追加
タツヤに促され、俺はプラントに近づく。
低く重い音を発しながら光を湛えるそれは、知らぬものがみれば兵器にみえたかもしれない。
「この辺にいりゃいいのかな? で? どうすんの?」
「なにもしなくても範囲内に居れば自動的に信号が送られて占拠が可能だそうだ。ちょっと時間はかかるけどな」
今度は俺が答える。 流石に少しくらいは知識があるつもりだった。
「へぇ、お前もちゃんと勉強してんのな」
「お前もちょっとは学んで来いよ・・・」
自分には関係ないとでもいいたげなタツヤの言葉に不安を覚える。
「すまないな」
「っ!?」
「うはっ!?」
再び不意にヴァイスから通信が入り、俺とタツヤは背中に氷を入れられたようにぞっとした。
普通の通信では何も感じないが、彼がふと話しかけてきた場合、耳元で囁かれたような感覚があった。
「・・・」
ヴァイスはまたも少し悲しそうに黙りこむ。
「な、なんでしょう」
なるべく平静を装うつもりだったが、若干声が高くなってしまっていた。
「占拠を任せてしまって」
さっきの一言と一緒に言えたと思われることを告げた後、またヴァイスは黙る。
「いえ、まぁ、隊長の判断ですし」
「隊長。 あいつがな」
ふっと笑う声が聞こえた。 どうやらグラントには通信をしていないらしい。
「意外なんすか?」
ヴァイスは「いや」と応え、少し間を置いて「俺よりは適任だろう」と呟く。
「だが、俺達は傭兵だ。 隊長なんて飾りみたいなものだ」
「従う必要はないってことですか?」
「そうだな」
最初のコメントを投稿しよう!