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「隊長! 早く!」
俺が叫ぶが、グラントの近くに身を隠すものは存在しない。 こちらに向かってはいるものの、俺達のいる場所までは百メートル以上はある。
更に、グラントのパーツではクーガーよりも最高速度が遅くなる。 再び敵の攻撃があるまでに隠れられる可能性は低かった。
(駄目だ! 間に合わない!)
グラントの乗るブラストがヘヴィガードで固められているとはいえ、タツヤと同じように直撃を受ければただではすまないだろう。
もしグラントが戦闘不能になれば、相手四人に対し、こちらは新人を合わせた状態での二人。 まず勝ち目はない。
敵はどこから? 警戒していたはずのヴァイスは何をしているのか? この状況で自分の出来る事は?
頭のなかでぐるぐると疑問が巡るが、半ばパニックで考えがまとまらない。
(どうすれば・・・!?)
呼吸が荒い。全身から汗が噴き出すようだった。体が熱く、先程から耳鳴りがやまない。
―銃声。
「っ!!」
急に時間の流れが遅く感じられ、銃声が重なって聞こえた。
血の気が引くのがわかった。ぐらり、と視界が揺らぐ。
銃弾の衝撃にタツヤの時同様、ヘヴィガードの機体が宙を舞う姿が想像できた。
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