6人が本棚に入れています
本棚に追加
言われて、殺さなくても良いのか、とほっとしたが、すぐにこれは試されているのだろうかと思い至った。
「どうした? 行ってこい」
グラントに促され、俺はゆっくりと敵機のもと近づく。
もし、俺がこのボーダーを見逃せば、俺は二人に覚悟の無いやつと見限られるだろうか。
誰だって人殺しになんてなりたくない。殺さずにすむならばそれに越したことはないと、そう思っていた。
だが実際は違う。 グラントの言うようにポイントによる負けを防ぐために殺す。危険を感じれば殺す。 勝者のきまぐれで殺す。
とても現実味がなかった。人がそんなに簡単に人を殺すとは。 あの二人も今までそうしてきたということも。
敵機が目前に迫る。 まだ気を失っているのか、ブラストはぴくりとも動かない。
俺は、肩のマウントからM90サブマシンガンを取りだし、敵機につきつけた。
これは、ある意味チャンスなのかもしれない。
次に相手の生死を分かつ場面に直面したとして、その迷いを一秒でも減らすための。
だが、今の俺には既に迷いはない。
俺は、トリガーを引いた。
最初のコメントを投稿しよう!