初陣

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言われて、殺さなくても良いのか、とほっとしたが、すぐにこれは試されているのだろうかと思い至った。 「どうした? 行ってこい」 グラントに促され、俺はゆっくりと敵機のもと近づく。 もし、俺がこのボーダーを見逃せば、俺は二人に覚悟の無いやつと見限られるだろうか。 誰だって人殺しになんてなりたくない。殺さずにすむならばそれに越したことはないと、そう思っていた。 だが実際は違う。 グラントの言うようにポイントによる負けを防ぐために殺す。危険を感じれば殺す。 勝者のきまぐれで殺す。 とても現実味がなかった。人がそんなに簡単に人を殺すとは。 あの二人も今までそうしてきたということも。 敵機が目前に迫る。 まだ気を失っているのか、ブラストはぴくりとも動かない。 俺は、肩のマウントからM90サブマシンガンを取りだし、敵機につきつけた。 これは、ある意味チャンスなのかもしれない。 次に相手の生死を分かつ場面に直面したとして、その迷いを一秒でも減らすための。 だが、今の俺には既に迷いはない。 俺は、トリガーを引いた。
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