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近距離での銃声に驚いたのか、先程までぴくりとも動かなかったブラストが痙攣したような挙動をする。
操作した、というよりは驚いて飛び起きた時に意図しない動きをしてしまったようだ。悲鳴を漏らしたかもしれない。
俺は間髪いれずに敵がまだ握り締めていたスナイパーライフルを思い切り踏みつけた。もちろん、銃口は敵機にむけたままだ。
「仲間との通信を切って、外部通信に切り替えろ。 三秒以内に応答がなければ撃つ」
感情の見えない淡々とした指示に、ボーダーは混乱したようだが、すぐに返事が聞こえた。
「な、なんだ? な、な、仲間の情報を漏らしはしないぞ!」
殺すならば殺せ、といわんばかりだが、声の震えや即座に切り替えたことから、虚勢である可能性が高い。むしろこのまま銃を構えていれば、そのうち頼んでもないのに仲間の情報をもらしそうだった。
正直、仲間との通信を切らずとも外部通信は行えるし、その確認はこちらからすることは不可能だ。 だが、なるべく考える暇を与えないようにしたし、この調子なら大丈夫そうだった。
「降りろ。 殺しはしない」
この言葉に二人は驚くだろうか?
「し、信じろっていうのか・・・?」
当然の反応だった。
「信じろとはいわない。 決めるのはあんただ」
しばらくの沈黙。相手もそれ以上は問わなかった。
少しして、コックピットのハッチが開く。
搭乗していたボーダーは20代後半から30代前半と思われる男性だった。男は両手をあげ、降参の意を表す。
「救助信号をだせるように端末は持ったか?」
「あ、ああ・・・大丈夫だ」
「じゃあ退いてくれ」
言って、ボーダーがブラストから離れた後、コックピット内部をサブマシンガンで撃ちまくった。
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