初陣

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初陣

そこは渓谷「だった」。 以前は、という意味でだ。 その昔、山と山に挟まれたこの場所には清らかな川が流れて、観光地としても利用されていたという。 しかし、現在。この場所に川どころか一滴の水も見当たらない。地面は見渡す限りの砂漠地帯だ。 原因は西暦から復興歴へと変わるきっかけとなった、エイオース爆発事故。 その際に降り注いだニュードが、この地にも落ちた。まぁ、だからこそ今回の戦場であるわけだが。 (しかし、まぁ、よくもあれだけの量で・・・) 俺は今回の作戦範囲外の、演習場所にもなっている渓谷の岩のアーチに付着したニュードの塊を思い出した。 そもそも容易に形を変えるそれに決まった形状はなかった。が、活性化すれば有機物だろうと無機物だろうとお構いなしに融合を可能とするそれは、アーチに寄生する溶岩のように、どす黒い緑の輝きを放っていた。
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