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「分かった! もう見せるからぁ! だから来週は……お・願・い」
ナナはそう言うと、先ほどまで頬ずりしていたノートを差し出してきた。
「もう……調子のいい奴。」
私はそう言い、なんだか納得いかないままナナからノートを受け取った。
私はノートを手に、また家路へと歩き出す。
ナナの家と私の家は隣の地区同士で、周りから「双子ちゃん」と呼ばれるくらい仲がいい。
性格はというと、
私はいたって普通、強いていうなら格別ビビりなくらいである。
ナナはというと、
とにかく明るい。泣いている所や怒っている所も殆ど見たことがないくらい、いつもニコニコしている。
「あ、そう言えばうちが前に頼んでおいたライブのチケットどうなった?」
「フフフ……ばっちり! 明日の……土曜日には届くから来週学校で渡すね」
「嘘!?やったーー!!!まじ嬉しいっ! なら、明日、届いたらうちにメールして! 嬉しすぎてそのメールだけで米一俵はいける!」
ナナはそう言いながら茶碗と箸を持つ仕草をしてご飯を食べるマネをする。
その格好が面白くて、私は口を大きく開けて笑った。
「アハハハ!!何それ~! ……あ、忘れてた。私今日お婆ちゃん家寄るから、こっちの道から帰るんだ」
時間とは不思議なもので楽しい時はすぐに過ぎてしまう。
「分かった、じゃあまた来週ね! 明日は絶対メールしろよ~?!」
「もちろん! じゃあねー!」
「うん、ばいばいマリ!」
この時交わした"ばいばい"が、最後になるかもしれないなんて誰が分かっただろうか。
でも、ナナはこの日を最後に
……姿を消した―
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