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12歳も年の離れた弟、『秋夜(しゅうや)』。
大学3年生の秋夜は就職活動のため、昨日から家に泊まっている。
大学の時から家を出てしまった私。
秋夜と一緒に暮らしていたのは、彼が幼稚園の時まで。
まぁ夏休みとかには家に帰ってたし、今だって正月くらいは実家に帰るから全く会ってなかったわけじゃないんだけど…。
随分大きくなっちゃって、まるで別人のようだ。
「まったく…。姉ちゃん、遅刻とかするでしょ?」
「ん?しないよ。結構ギリだけど。」
「ギリって…。はぁ~。もう少し余裕もって出勤しようよ。」
12歳も離れた弟に、呆れられてしまった。
秋夜って、しっかり者なんだ。
小さくて、家の中走り回ってる姿しか思い出せない…。
寝室を出ると、テーブルの上には朝食が並べられていた。
トーストに目玉焼き、サラダが置かれていた。
秋夜はコーヒーメーカーからコーヒーを注ぎ、私の前にカップを置いた。
「ありがとう。これ、全部秋夜が?」
「他に誰がいるんだよ。あと弁当作っておいたから、持っていきなよ。」
「お弁当まで…。」
「姉ちゃん全然食ってないんだろ?ただでさえ痩せてんのに、また痩せて。倒れるぞ。」
もう倒れたなんて、言えない…。
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