4470人が本棚に入れています
本棚に追加
次第に電車に乗ってる人の数が減ってきた。
私は立ち上がって、三島部長を見た。
「そろそろ、行きましょうか。」
「大丈夫か?」
「はい。だいぶ楽になりましたし。付き合ってもらっちゃって、すいません。」
「いや、構わないよ。家まで送るよ。」
「そんな、大丈夫ですよ。」
「まだ顔色が悪い。途中で倒れたりしたら大変だ。以前小谷には世話になったんだ。送るくらいさせてくれ。」
私はちょっと困ったように笑いながら頷いた。
三島部長は空いてる席に私を座らせ、私の前に立っていた。
駅から家まで歩くとき、さりげなく車道側を歩いてくれる。
歩くスピードも、私に合わせてくれている。
本当に良く気づく人だ。
会社での彼を見て、よく思っていた。
この人はまわりの人間のことをよく見ているって。
誰の手が空いてるとか、誰がいっぱいいっぱいで焦ってるとか。
この人ならこれくらい出来て、この人は出来ない。
この人はよくこういうミスをするから、要注意。
そういうのって管理職なら出来て当たり前とか簡単そうに聞こえるかもしれないけど、結構出来てる人は少ないし実は難しい。
それをしっかり出来てるからこそ、私と3歳しか違わないのに部長っていうポストについているんだろう。
最初のコメントを投稿しよう!