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三島部長はちゃんと、私の部屋の前まで送ってくれた。
マンションのエントランスで『ここで大丈夫です。』と言ったんだけど、部屋の前まで送ると言って一緒にエレベーターに乗った。
ここまで送ってもらっちゃったし、お茶くらいご馳走した方がいいのかなぁ?
「今日は遅いから、これで。しっかりご飯食べたら、早く寝なさい。」
私の考えてることがわかったのだろうか?
部長はお茶に誘われることなく、帰ろうとした。
「今日は、ありがとうございました。おやすみなさい。」
「おやすみ。また明日。」
部屋の前まで来て上がらずに帰った異性は、三島部長が初めてかもしれない。
大体家のまで送ってくれたら、家に上がってそのまま…。
相沢部長がそうだった。
遅くまで残業に付き合わせてしまったからと、家まで送ってくれた。
そしてこのドアの前で、キスをされたんだ。
そのあとは家に上がり、やることやったんだ。
それが相沢部長との関係の始まり。
相沢部長は、もうあの会社には来ない。
もう2度と会うことはないんだ。
そう思うと、胸が痛む。
関係はとっくに終わったのに、どうしてこんなに胸が痛むんだろう?
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