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そして女性社員は、上層部に『相沢部長にセクハラをされた。』と訴えたのだ。
相手は立場も上で、しかも妻子ある身。
上層部は相沢部長を左遷した。
2人をホテル街で発見した男性社員は、相沢部長の人事異動の張り紙を見てすぐにその夜のことを思い出したそうだ。
ただのセクハラではなく浮気関係にあったことなどを知った同僚は、騙されたと少し自分を責めてるとか。
現在訴えた女性は、まだ普通に出勤している。
会社では孤立し、社員からは白い目で見られているのに。
「先輩、彼女ですよ。」
職場の女の子が指差した先には、私より若いであろう女性社員が。
壁際の席で1人、昼食を取っていた。
小柄で、大人しそうな雰囲気。
本気じゃなかったからセクハラで訴えるなんて、そんな大胆なことが出来るような感じには見えない。
女は怖い。
愛に溺れてしまったら、何をするかわからない…。
相沢部長の事件以来、あまり仕事に集中出来ない私。
今のところミスがないのが奇跡のようだ。
私はぼーっとしながらファイルを持ち、資料室へと入る。
ファイルをあった場所に戻していく。
「よう。」
「キャッ!」
急に後ろから声をかけられ、持っていたファイルをすべて落としてしまった。
動悸と息切れを落ち着かせながら、私はゆっくり後ろを振り返った。
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